みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

ひとりでに寂しいままで

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 ついこのあいだ、フィッシング詐欺サイトに個人情報とカード情報を入力してしまった。iphoneが当たるというやつだ。以前にも引っ掛かったことがある。口座に金がなくて助かった。今回も口座には金がない、なにせ、月末だからだ。金は現金にして財布のなかだ。とりあえず、デビットを利用停止にして、相手方にメールを送った。ずいぶんと口汚いメールをだ。メールは宛先不明で返ってきた。電話もかけたが繋がらなかった。とにかくどうしようもないありさま。
 残りの食材が少ないので、ものを売って金をつくる。¥1000。ほとんどをスパゲッティに遣い、あとは酒に遣った。カードの再発行はもうちょっとあとにしよう。なんとか、生き抜けなけりゃいけない。こんなにも寿ぎのない人生のなかで、ひとからもらうこともあるけれど、いつもおなじ人物だったりする。今月はリングイネを頂いたというのに、もうなにもない。だからものを売ってスパゲッティを5袋買ったのだ。たわごとのような人生。足許のぬかるみから、迫りあがって来る、人生。

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 現金給付はいつになるんだろう。金が入ったら、外付けSSDと中古のマック、ブルーレイ・プレイヤーを買おうかな。それとも液タブにしようか、なんて考える。おろかしいほど金に縁がないと、おろかしいことに金を遣いそうになる。あと4日、なんとか耐えなくちゃならない。きのうは時間をかけてSpotifyでプレイリストをつくってみた。合計19時間の大作になってしまった。もうちょいと削る必要がある。創作のほうはなにもしてない。小説どころか、短歌さえつくってない。ただ作品の売り込み先を台湾に求め、ふたつの出版社を見つけたぐらいだ。でも、この時期じゃあ、送れそうにもない。全国の詩誌に送る予定だった、パンフレット詩集「point break」も延期だ。はたからみて、コロナをばらまいてるとおもわれたくないからだ。警戒されてごみ箱行きってのがオチかも知れない。かわりにエイトビーターのデモテープ募集に応募してみた。たぶんだめだろうけど、なにか助言がもらえれば、それでいい。ともかく、なにをするにも方向性を定めなくちゃならない。そうとも他者の声がいるんだ。

 

 

 

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 得るものよりも、失うものが多い生活。水っぽい愚痴を零すのはもうやめにしたいところだ。来月から独学で、絵とギターと英語をやろう。しばらくは教室も手ほどきもなしだ。たぶん、9月の文学フリマだって中止になる。ひとに会うことはしばらくできそうにない。けっきょくは自力本願でしかないということだ。なにかにひとつでもいいから優れてしまいたい。集中力のなさを克服する必要がある。

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 ひとりでに寂しいままで、
 警笛が鳴って、
 ふりかえると青い車が逆走の果てに交差点で横転して、
 男やら女やら子供やらが乗ってるやつを眺めてる
 ちいさな、生まれたての叫びがして、
 おれはかつておなじような光景を夢に見てたのを懐いだす

 やがて救急車がやって来た
 でも、渋滞に巻き込まれ、
 人生が混濁し始める
 やがて引きずりだされたドライバーが首をさすって、
 赤い血を見せつける

 救急隊員が歩道を縫って歩き、
 やつに問いかける、
 なにをいってるのかはここからじゃ、
 わからない

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 おれはわれに帰って、じぶんの居所を確かめる。あるいはじぶんの臥所を確かめる。大丈夫、まだやれそうだ。ただどっから手をつけていいのかがわからない。ものごとがみんな渋滞を起こしてる。とにかくはインプットだ。なんであれ、入力作業がいる。いまは出涸らし。まったくのゼロだ。だから、なにを書いていいのかもわからない。たったいま、足の小指を本棚にぶつけた。

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