みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

新年の手紙(Ⅰ)

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   *

 パーティはなかった

 雨季の名残りがあらゆるところに点在しては、早くもぼくを蚕食しようとかまえる

 自動車を比喩にして逃げ穴に変換するスペース・キーが壊れてるのにだれかが、

 かれらを、そしてかの女らを掴まえる

 河に飛び込むツェランへの最後の督促状とともにして、

 いつかきみがいったことを反芻に置き換える

 ほんとうによく誂えられた人間の家でさえも、もはや棲むことはできない

 きみのからだは大きすぎたし、ぼくの心臓は冷たすぎる

 唾をかけてやれ、──あるゆる世界のいちばんの悪酔いに

 渉禽になって天体をめぐれ、──あらゆる箴言の澱の果てに

 閉じ込められた火のなかで、いま訪れようとする恐慌

 負債に彩られ、まったきの怖れのなかで、

 それぞれの恥辱を抱いて、いまこそ愛せるものなら愛してみやがれって、

   *

 そんなことをかぼやきながらO氏からの葉書を読んでいた

 今年は二宮神社にも、どこにもいかない

 たぶん、ぼくによく似た鼡が糞便のなかで鼻を鳴らしているだろうな

   *