おれが夜
の充分すぎる
そのたわくえに魂しい
を清められているみぎり
日の本は愛痴から生まれでた
屠与太の自動車(うんこ)がその犠牲者の血と
脂で臭う車体をわが戸口にすべりこませて突如
冬枯れの町がひびわれくだけてしまうような
冷たい警笛をぶちかまし始めた
しかもその音は一秒や三秒や
五秒では終わらず
七秒や九秒や
十一秒であっても
鳴り止まない
ようやく起立し始めた
ノートのうえにいる神紙も
勢いよく払いのけられ
すべてを薄っぺらい
造花のびらびらに
変えてしまった
なんということでしょう!
テレビジョンの無数なる銃眼から
女の声が驚嘆をあげて
だらしなくひらいた
おれの唇ちから
きれいごと
が落下
する
のが見える
もうなにもかもが
じゃまされてしまって
せっかくのヴラマンクも
性犯罪者のゴーガンに変わる
木でつくられた窓を向こうにして
おれはおれのあたらしい敵どもを見
洗浄を知らない手と足をくぐらせながら
その自動車のなかを確かめる
まったくのあほうどもが
いちだいに五百匹も
棲みついていて
廃油まみれの
息とよだれに気づかずに
からだにそなわったあらゆる孔で
自己肯定のおしゃぶりをおぞましくしゃぶっていた
吐き気を恋人にして走りまわっておれは神の
ノートにそのすべてをぶちまけてしまう
やかましすぎるあほどもよ
いますぐに黙らなければ
おれはまたひとつ至上の
現代詩を完熟させ
おまえらのあほうづら
を言の葉のうちにし
雨季の寂滅で
みじめたらしく
濡らしてやるぞ!
おれの嘔吐の
そのわずか一瞬の好きまを
刃い葉できりひらいて
未知なる男が侵入を
組み立ててきた
全身の毛穴から生きた排気が噴きだして眼をひらき
黒に限りなくちかい青で怒りを突きだして笑っている!
いったいこいつはなんなんだ?
おれはとまどいの右-32席を
あわ手手いて坂砂にした
そんなばかなおれに
やつはまったく平気な顔でいう
あたしがきみのあたらしい詩情なのよってな
愛らしい衣の襞をひだひだとさせて
鋼鉄の赤いランドセルから
リコーダーをもったいぶって
とりだすとへもけの歌を吹き鳴らす
おもてのくるまはなかの害虫
もろとも苔むす礫にかわる
なんということでしょう
なんと
あざやかすぎる
現代詩のあらわれ
だろうか
またしても
おれはあたらしいものを
股ぐらのふくらみにくくりつけ
十一月の初冬に立つ
裸の男になってしまった
警笛などもう相手にはならない
季節の弾倉にはげしい言の葉が光る
そしてかれは乳房をふるわせ
乳香をたらす
日の本の大地に
暴れながら咲き誇り
おれの魂しいの
うえに叩きつけるように
その肉体を捧げた!