みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

愛/チャールズ・ブコウスキー


        試訳=中田満帆

 

 ラヴって、かれはいった、おたわごと
 おれに別れのキスを
 おれの唇にキスを
 おれの髪にキスを
 おれの指に
 おれの眼におれの脳に
 忘れさせてくれ

 ラヴって、かれはいった、おたわごと
 かれは3階に室を持ってた、
 1ダースの女からふられた
 35人の編集者から
 そして半ダースの出版業者からも
 いまのわたしにはいえないな
 かれがとても好ましかったなんて

 かれはあらゆるスケを巡った
 灯りのない室で
 それからベッドへいった

 いくらか経ってやろうは
 じぶんの309号室へと赴き
 葉巻に火をつける
 広間で

 そしてソファが窓を飛びだした
 いちまいの壁が濡れた砂みたいに崩れ落ちた
 紫の火炎が40フィートも高く空を波打った
 
 そのやろうはベッドにいる
 知りもしなかったし、気にもかけなかった
 でもわたしはいうよ
 かれはきわめて好ましい
 その1日は。