みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

「そのころ鱗ついて考えてた。それがこの髪型に結びついたわけです」(本人談)

 

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 長篇小説「裏庭日記/孤独のわけまえ」はようやく校正が終わった。今週発送する。それでだめなら短縮版をつくって賞にでも送ろう。最近はずっと校正と読書に浸かってほかのことはなにもしてないと来る。そろそろあたらしい作品を書き始めなくてはならない。残念なことに娯楽作品は書けないから、またも青春残酷物語と相成るしかないだろう。とにかく賞に受からなければなにも始まらない。ものを書いていておもうのは、一作ごとになにもかも原初からはじめなくてはいけないということだ。自己模倣のわるくはないが、そいつはそれでエネルギーがいる。けっきょくはあたらしいものを書くしかない。それも手元に参考などと称して他人の作品を置くのもやめたほうがいいだろう。《書くか、さもなくばなにもしないか》──チャンドラーはそういっていた。なにもしないまでも書く時間と読書の時間は混淆するべきではない。混ぜるな危険である。まさしくサンポールである。義務感に駈られて書くのもいけない。書きたくなければ書かないのがいちばんだ。創造的世界はそんなことをやっても開いてはくれないからだ。

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 相も変わらず、携帯もネットも復活できていない。プリペイド端末はいけるが、フィマートフォンはだめだ。あとはネット復旧のために金を払い、室に線を引かなくちゃいけない。とりあえずネットカフェ頼りの生活から脱しなきゃだめだ。電話が使えるようになったら郵便局の面接でもいこうとおもう。金にはならない仕事ではあるが。
 正直にいっておれの人生はうまくいってない。負債はあるし、それを支払う能力がない。小説の構想はなかなか降りて来ない。五年まえの友情の破綻について書こうか、それとも郵便局での労働について書こうか。どうなるのかはわからない。けれども応募だけでもきちんと果たしたいとおもっている。

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 おとついは短歌、きのうはあたらしい詩をふたつ書いた。手紙も一通書き、長篇も加筆。なかなかいいスタートだ。しかしどうもおれの才能は夜用らしく、けっきょく朝まで書いてしまった。本も一冊読んだ。早く賞のための小説を書きたいが、他者との交流のない生活のなかでいったいどうすれば違和感のない他者をつくりだせるか、それが課題だ。

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 おれは尼崎がきらいだ。なのにおれの本籍地は出屋敷にある。生まれた場所でも棲んだ場所でもない、ただ父方の祖母がいたところだ。おれは分籍届をだしておれの人生から、あのうすぎたねえ町を葬ってやるのさ。

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 図書館で「ピカソになりきった男」という贋作画家の自伝を見つけた。これは買って読んだほうがいい本だと直感した。

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 金でも飯でも仕事でもおれに恵んでおくれ、だ。