みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

週末

 


 緑色の帝国のなかで
 なにも欲しがることもなく、
 かといってひとりでいるのが寂しいときに
 心の澱をみずから確かめて、
 なんでもないような貌を気どる
 ぼくはきみが好きだっていう論証
 とくになにに持たない手で
 きみの頬を撫でるとき、
 決まって知らない人種が
 通り過ぎるのを感じるんだ
 なぜって?
 そう仕向けられたからだもの
 畸形の祝祭性のなかで
 たったひとり取り残された子供が
 馬の死骸に泣き、その死骸を喰うとき
 ぼくはいっそう怒った茎を手折って、
 ふたたびきみのなかに這入るんだ
 どうぞ、
 このろくでなしの館へ
 きみというきみが決して輝けないところで
 たぶん妄想とか、空想とか呼ばれたものをいま、
 くり返すだけなんだっていう憂鬱
 けど、もうそんなことはやめて、
 きみとぼく、
 社会と反哲学のはざまでずっと、
 取り戻せないなにかのために
 とおく、
 遠く、
 話をすればいいって、
 ひとりごちて、
 おもうときがあるって
 そうだろう?