みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

浮き雲

 

 見あげればただ茫漠として、
 浮き雲の愉しさを識る
 なにかがおかしいとおもう指先の世界で
 たったひとり雲を見てる心象の果てなんか
 ぜんぶ、くそ喰らえだなんて、
 嘔き棄てたくなってしまい、
 やがてさようならの、
 余韻もなく、
 果実と、
 鉄の、
 ゆくえも知れないところで、
 碍子がゆれ、
 電話線が断ち切られるのさ
 ぼくの解剖学のなかでいまは湿った心が、
 愛善居士と名乗って、
 だれも知らない汗腺のぬめりとか、
 瓜を切ったあとの、
 生温さとか、
 どうでもいいようなことに気づくだけ
 どうでもいいようなことに追いまわされるだけ
 浮き雲は元気に
 太陽に曝され、
 浮き雲は鈍重に
 大気のなかで乱れ、
 やがて太ってしまう空欄のなか、
 ぼくは冷めた鮭を喰い、
 いま昼餉を終えようとしてるところなんだ