スパゲッティに飽きてひたすら蜆汁を啜ったのは午后、
まだ裸になれないひとびとのなかで奥まった歯ぐそをほじって、
長年の夢みたいなうつくしい隣人たちと罵声を浴びせあう
憂いを含んだ夕べ、牛丼屋のテイクアウトがやかましい通り
おれは詩を書くように小説が書きたい
デニス・ジョンソンの短篇集を読み、夢魔の到来を待つ
その頃合い、西瓜で武装したテロリストがおれのドアを叩き、
エホバの証人や天理教よりも質のわるい呼び鈴が鳴る、
おれは応えない
ヘビイチゴでいっぱいの弾倉を確かめ、
スモモで充たされた冷蔵庫を盾にする
こいつはたったひとりの戦いなんだ
やがてドアがひらき、
裸の男たちが、雨の女たちと、
葡萄の種をフルオートで発射する、
たぶんマウザーだろう
まるできみが見た、
きのうの夢のよう
おれはルーガーにつめたイチゴで応戦し、
ひとりずつ殺してった
そしてパイナップルで火葬した
したたかにレモンの果肉がゆれる
アケビがばらばらになった通路にでて、
おれはやつらの灰をむさぼり喰う
到着した警官たちがおれをぢっと見るのはきっと、
おれの編みだした詩学がその制服をあざ笑ってるからだ
安心しろ、きみにためにバナナを用意しておいたんだ
あらゆる比喩に抗い、決して挫けないきみのために
おれは催涙弾で清められた室のなかではじめて、
裸になろうと、
パンツを降ろし始めるんだ