みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

沐浴

 

 ひざかりで子供たちが遊ぶ
 そんな光景もしばらく
 公園には鳩だけが
 あたりで休む
 おれは懸垂を1回もできずに肩を痛めた
 収集を待つ廃棄品、青い袋と気の触れたベッド
 あとは燃えるのを待つ周辺住民のかげ
 綴じられた本の、1ページをやぶってスケッチする
 金がないということだけでおれはどうかしてる
 あるいはなにもできないかも知れないという可能性におれはどうかしてる
 新刊の「MONKEY」にはブコウスキーの作品が載ってるという、
 これは買わなきゃ、――でも金はない
 給付金がいつ来るのか、だれにもわからない
 申請者番号なら今週、報せがあるはずだ
 おれは通りをもどって、アパートのまえに立つ
 むかいの堅牢な養老院から悲鳴でも来ないかと耳を欹てる
 いつか見たことのある、白いアウディがこっちに臀をむけて停まってる
 建築作業員たちが過ぎる、かれらはみな冷房つきの上着を着て、
 休憩にむかって、大きくふくらんだ服で遠ざかる、
 女の警備員がひとり駐車場に坐って電話をしてる、その声はいがらっぽい
 おもいわずらう以上に、おれはおもうことを避けてきた
 ただ観察してみるだけで、終わりに近づくということ
 ただなにもせずに、終わりに近づくということ
 おれはポストからかの女をとりだした
 中古で¥7000の、ゆいちゃん
 かの女の映像、そしてあたらしい生活
 期待とむなしさが同居する、この浅ましい気持ち、
 やがて室を暗くして、かの女を見た
 いまでもありありとおもいだせる、
 すべてのもの、あの場面、
 あの演技、あの笑顔
 ふくらみきった茎を握って、
 おれはズボンを脱ぐ
 やがてイッた
 もはやじぶんがじぶんにとって、
 創造を正しく行使できるのかもわからない
 いえるのは燃える6月、その光り、それ以外のなにもかもだ