宍戸錠へ捧ぐ
だれとも手の繋げない孤立者にだって、
さみしいときはあるもの
大きな鳥を猫が連れ去っていくさまを観るに
映画にはいつもだれかが、ほかのだれかのおもいに寄生する
整形手術で二枚目を失った宍戸錠は、
ガラスのジョーになり、水野穣治になり、
田島秀雄になり、
やがて花田五郎になる
かれが唯一残した短篇小説「ロング・ショット」みたいには、
それは巧くいってないのかも知れない
ジョン・ゾーンが語ったみたいにかれは器用さゆえに殺されたのかも知れないからだ
かれがやった殺しはみな、
デザインされてた
大きなスクリーンを保護膜にして、
かれは赤い荒野へ、
赤いガンベルトとともに去ったのだ
標的は決して外さない
きみは怖くてあの世にもいけやしない
かれの銃口がどこで狙ってるか、
だれにもわからないから
註:題名にある「ハナダ・バップ」とは、映画「殺しの烙印」の劇中曲です。むかし、それをオープニングにyoutubeに動画をつくっていました。