月翳にまぎれて
見えなくなった友人を探しに
舟を漕ぐ
生田川上流から下ると、
二宮神社にぶつかり、
もうなにもわからない
冬ざくらが咲いてたあたりで
処女塚を過ぎて、
やがてぼくのなかの熾きにたどり着く
のはほんとうだろうか
だれかが剪った、茎の断面
青白い滴りがあって、
そのさきは夜
スペース・ピンボールを負けつづける、ひとりの男
そのおもづらに乾杯だ
友人など、はじめっからない
輪郭のない顔が去って
子宮発の、地下鉄に乗った
やがて悲しい茎たちが孤立者を呼ぶだろう
驟雨しつづける時代の表面加工技術
窓枠のなかで発射された過古が
遠く、
遠くの西洋便器ごと、
月光のドライヴを
はじめるまで