きみに手紙を書こうとおもいながら、いったい幾年が過ぎたやら
ぼくは病院と留置場と裁判所をいきつもどりつして、
すっかりくたびれてしまった
ぼくはぼくがなにものかになることを待ってて、
待ちすぎてとても疲れてしまったんだよ
曳航のしすぎで、あらゆる夢は腐れ、
またおなじように自身もわるい臭いを放ちはじめる
ラブ・ホテルの燈しに搦められ、
アルコールに潰され、
そしてみずからの性によって放逐されるだろう
放浪には厭いてしまった
女たちはもはやぼくのかげに唾さえも引っかけない
暮れる銀河、
麦のような男たちが、
パークサイドで莨を巻いてる
舌を湿らして、
紙を濡らす
そして咥える
煙が通りを歩き、タクシーに轢き殺される
つまりは「正しきものら」の棲まう場所へ、ぼくもいきたいんだ
正しい暮らしと、正しい仲間たちのなかで顔を変えて再登場したい
消え去ったもののなかで輪唱して生きていたくはない
ただぼくはぼくを再構成して、今度こそまちがいのないところで息がしたいだけ
きみなら笑うかも知れない、ともかくすべてが灰になるまでぼくは新年の手紙を書くだけだ