みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

Louie Louie

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 夏の匂いがする、──ぼくはつぶやく
 かの女たちにできることはもうなにもない、──ぼくはやぼやく
 母は家をでたらしい、
 姉は離婚したらしい、
 妹たちはそれぞれどっかで暮らしてる
 かの女たちがどこにいるのかなんかぼくの知ったことじゃない
 あの家のなかでぼくがずっと異分子として生きてきたように
 この町のなかででもぼくはずっと異分子として生きてる
 かの女たちのことはなにも知らないし、
 かの女たちもぼくのことをなにも知らない
 湿気のひどい室のなかでものを綴る、
 ものを喰う、
 ものを集める
 だれとも手を組まず、
 だれともわかり合えず、
 哀傷という怠惰のなかでずっと、
 ずっと臀を掻いてる

 夢を見た 
 季節労働者として荷台にゆられ、
 遠ざかるすべてに悲しむ夢
 どうしたらいいのか
 もうわからない
 あの娘ともう一度いい、
 会いたい
 月が海を照らす
 寝汗を掻く
 あの娘のなまえを呼ぶ
 そして夢は終わる

 存在しないってことを経験したい、──ぼくはつぶやく
 階段を降りて地上へ立つ、──ぼくは無事だ
 知らない顔みたいな通りを過ぎる、
 駅を抜ける、
 男の性なんか当てにはできない、
 せいぜいのところ女に敗北するだけだ
 夏の匂いがする、
 かの女たちにできることはもうなにもない、
 そうやってながいためらいのなかにいながら、
 モトコー4で、
 Louie Louie の
 ハンバーガーに喰らいつく