みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

だって、もう、だから、(PM20:59)

 

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 夜ふけの通りをわたってすぐに
 光りのきれっぱしが飛んで
 ぼくに迫る
 ブレーキ、
 焦げるタイヤの臭い、
 むかってきたのは40女の乗ったルノー
 醜い皺をいくつもつくりながら
 かの女は窓からかいなを突きあげて
 怒り声をあげる
 それはまったくの瞬間でしかなく、
 ぼくはファミリーマートへいく
 ところがお気に入りにチョコ・クロワッサンがない
 ぼくは餡デニッシュと黒酢の支払いを済ませる
 なにも拠りどころがないことの清しさ
 室にもどると電話が鳴ってる
 でもぼくがとるまえに止む
 だれから来たのかもわからない電話
 だれかがぼくを呼んでるっていうめずらしさ
 もしかしたら先週おれが送った本についてかも知れない
 でもそれならメールが来るはずだ
 メールはない
 じぶんが求められてないと気づくだけの終日
 ぼくはきのう映画を観た
 「イングランド・イズ・マイン」
 スティーヴンという若者のはなし
 かれにはさ迷ってばかりいる
 みんなは与えるものがなにもないからと、
 奪ってばかりいる
 ぼくにはよくわからない
 England is mine, it owes me a living
 But ask me why, and I’ll spit in your eye / The Smiths "Still Ill"
 病んでるのかも知れない
 でもぼくはいっておく
 ぼくはだれとも口づけなんかしない
 ぼくはルノーになんか乗らない
 ぼくはあした仕事にいくつもりがない
 きみの慰みはもうかつてのようにやさしくない
 唇が傷みだす
 ああ、また唇が痛みだすんだ
 廚に立つぼく、
 鉄のフライパンで焼きあがっていく卵、
 こいつがぼくの脳味噌なのか?
 どうか、ぼくの脳味噌にベーコンをひとかけら
 どうか、ぼくの判断にゴーギャンをひとかけら
 そしていまいましいこの人生をぜんぶきみのせいにする!

 


The Smiths - Still Ill (Live, Hamburg, 1984)


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