みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

ライブにせかされて──King Brothersを観た。

05/17


 気分がよくなかった。午まで眠り、起きて鶏胸肉の野菜炒めをつくって喰う。ライブのまえに映画にいこうとおもっていた。ところが雑務に追われ、けっきょく間に合わなかった。カラオケ屋で時間をつぶし、十三へ。電車はえらく混んでいて、つり革にすら掴まれない。そんななかで小さな女学生が無理矢理手を延ばしているのを見ていた。やがて十三。ここに来るのは15年ぶり。19歳以来だった。この町にいちばんめの妹が棲んでると最近知った。かの女とはもう10年は会っていない。このさき会うこともない。

 

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 ファンダンゴに着くと、もう最初のバンドが楽器を調整していた。店内ではゲンスブールの「Quand mon 6,35 me fait les yeux doux」が流れている。おれはジンジャエールを呑みながら観る。folk enoughはえらく演奏が拙かった。しばしばリズムは崩れるし、ギターはピッキング・ミスをしていた。英語の歌詞は発音がわるい。客のなかには6人ぐらいだったか、白人もいた。けれどかれらは気にしないようだ。ノっている。つづいてのand Young...。ベースレスバンド。わるくなかった。ギターがいい。巧い。ギターボーカルのほうではなくて。音作りがおれ好みだ。かれの手許ばかり、おれは観ていた。ギターがストラトだというのもいい。

 


Gainsbourg Percussions - 4 Quand mon 6,35 me fait les yeux doux


 そして最後にキングブラザーズ。「スパイボーイズ」で始まる。音響のわるさか、歌がよく聞こえない。「★★★」や虹盤からも1曲やった。以前にキングを観たのは「KANPAI神戸」という4年ほどまえのイベントだった。そのときと較べると、音がわるい。演奏が粗いようにおもえた。そしてケイゾウは肥えたなとおもった。かつてのような精悍さが感じられなかった。髭も似合っていない。おれはおれのなかでこのバンドが過古の産物であることをおもい知った。喪われた時代の一部分でしかないのだ。昔、「factory」が配信していたライブ動画や、SSTVの「宴」にあったような毒気がすっかり抜けていた。あるのはただの勢いだけだ。もし高2のころ、赤盤で知ったころにライブへいっていればもっと愉しめたのではないか。「マッハ倶楽部」でマーヤが観客のうえをダイブして流れていく。もはやお馴染みの光景なんだろう。時折かれの腰や足に触れてみるが、なんとも苦々しい気分だった。これじゃ予定内調和じゃないかとかぼやき、うつろに腰をふり、首をふった。

 ライブが終わった。The Velvet undergroundの「I'm waiting for a man」がかかり、やがてストーンズの「She's a rainbow」に変わった。メンバーが降りて来る気配はない。ドラムセットを写真に撮るも、ストロボが作動しない。あきらめて出た。他人に期待したってしょうがない。じぶんの音楽をやるしかないと自戒しながら、駅へもどる。まえを歩く女の子たち。ひとりが「ケイゾウさんと眼が合った」といっていた。帰ると11時過ぎ、急いで眠った。仕事があるからだ。

 


The Velvet Underground & Nico- I'm waiting for the man

 


Rolling Stones She's A Rainbow 1966

 

   *

 

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