みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

飛べる監獄

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 長い夢の果てにおれが攫んだものはもはや茹ですぎてぐずぐずになったスパゲッティ
 でしかないことに謹みながらありがとうって
 きみの、流しそこねたうんこへ呟いたこと
 だってそうだろうよ
 熾火がいつまでも待ってくれるわけもなく、
 おれたちは堅牢さのなかで
 飢え死にが必至さ
 いったいだれが匿ってくれる?
 いったいだれがボヘミアンに仕立ててくれる?
 金はない
 あすもない
 食い扶ちもなしだ
 神戸市中央区の救護支援に与って
 カソリック教会に金借りて
 アパートメントを探すだけじゃねえか──イヨ?
 だってほらあいつの帽子が黒いから
 今度の冬は暖かいって
 だれかが呟いた
 おれ?
 かの女はおれのことを知ってる?
 それとも?
 きっと銘木の義足を抱えて
 バス停に坐ってる、
 わが痴聖どもがなにかを伝えてくれるだろう?
 えーと、
 なんの話だっけ?
 ひとびとの暗澹たるバラスト
 観念するべきなのは仏陀よりもキリストとホメイニ師だって?
 おれにはそんなことはまったくわからない
 こいつをタイプしてるいまでさえもわかっちゃない
 いったいだれのためにおれは脾兪の天使どもを盾にしてる?
 そしてきみはなんのために鯖を用いて鰺を捌く?
 ヌーベル・コミックが燃えあがり、
 モンキー・パンチが尻を焦がす
 やがてしとやかなけものみたいに熱くなったおれが天籟を焼き尽くす
 憶えろ!
 しかと立ってみるんだ、
 おれたちが天国のカリナー・ワーフへ赴くところ、
 買い物カートはおれたちで充たされ、
 やがて半額シールとともに
 ゲートを抜ける
 深くて、
 広い、
 むこう側へ突き抜けろ!
 聞えるか?
 湊川病院の閉鎖病棟の紳士淑女たち
 看護人に虐待されながら、やがて衰弱死やほんものの発狂を待つひとびと
 おれはやつらを滅ぼしたいんだ
 将棋の駒みてえなつらの後藤まどか医師よ、
 あんたはデリヘルにだって勤めることはできない
 しょーもない学位とともにして
 他人の口唇期のなかで
 さ迷ってるがいいさ
 あっこは創価学会がバックだってね?
 なるほど、だ
 所詮、精神科医など山師にも劣る
 霜山も中井もじぶんの地位を抱きながら、
 文学へと手を延すんだ
 やめろ!
 やめちまえ!
 けつでもまんこでも菅官房長官でも喰らいやがれってんだ
 ああ、そうともおれは死ぬべきだ
 死ぬべきだ
 かわいそうだねってなんて濡れごとは聞きたくない
 おまえがおれを殺すまでおれは待っていられない
 おれは死者ぐらいには自由でありたいんだ
 いいや、忘れてくれてもいい
 おれはこっからでていくさ
 なまえを剥奪してくださいまし
 そして一笑に付し、
 あらゆる臥所にTNN火薬を仕込んで
 みな殺しの霊歌を高らかにスキャットしてくれ
 良子と死にたい
 雪子と死にたい
 そのあとかなえとやっぱり死にたい
 さっさときみはおれなんかを忘れて稲垣足穂とのおまんこを想像するがいいぜ
 所詮、男の甲斐性などそのぐらいのものでしかない
 おれはたったいま韜晦と苦渋のサンバを踊ってる!
 Don't call me pain!っていったいどういう意味なんだ?
 わからない、だからもう沈んでって
 さらなる悪所へ佇んでしまいたい、
 時間をモチーフにして、
 写真を撮って、
 服を仮縫いするみたいに
 だからおれ、
 いまから、
 みな殺しにむかいます
 死んでもらいます
 幾千の脳が奔る、
 幾千の脳髄が唾を吐く、
 そんな平原のなかにあって、
 猛禽類に告げる、
 謹謝。