みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

小説を書くうえでの悩み


 いまは「文學界」新人賞にむけて中篇を書いている。今回は伊丹十三の「「大病人」日記」を参考にして、映画シナリオの書き方を流用している。三幕+序章という形式。シノプシスを書き、本文にまず場所を書き、それから科白だけを入れる。そのあと簡単でみじかい地の文を書き入れ、展開を調整しながら、加えるべきものを考える。
 ところが風景描写がなかなかうまくいかない。地理についてぼやかしてあるというのもあるが、わたしは草木の種類も、建築様式の知識もなかったのだ。これではまずいときょうは図書館でそれらしい本を探した。それからロード・ノヴェルという性質を高めるために旅行記の類いを買うことにした。そこで藤原新也の「アメリカ日記」などを購入。そして種本としてサマラキスの「きず」を買い、参考として映画「ブラウン・バニー」と「審判」のソフトを借りて来たのだった。

 

 ○小説「犬を裁く夜(仮題)」

  ふたりの演奏家が巡業している。しかし理不尽な出来事に遭いつづけ、最期には消息を断つ。

 ○課題

  出来事の前兆を感じさせないこと、袋小路を利用しつくすこと、主人公たちの履歴、人物造形を練り直すこと。


 わたしはこの作品によって中篇小説の技術と場面描写の技術、風刺の手法を確立したいとおもっていまる。だれがふたりを現実から遠ざけ、ブラックボックスへ閉じ込めるのか、そしてかれらはそこから現世に復帰できるのか。まだまだわたしはふたりについてよく知らない。あと3ヶ月で70枚書かねばならない。現在30枚。わたしはどこへいくのか?

 

 

「大病人」日記

「大病人」日記

 

 

きず (創元推理文庫)

きず (創元推理文庫)