みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

憐れなるもの

brianmchenry.bigcartel.com あるいは「おれはイアン・カーティスのものまねに過ぎない」。 深夜、たったひとりでイアン・カーティスのものまねを踊っていたら、 朝になって苦情の電話が管理会社からかかりやがった バリトンで吼えながら、「残虐行為博覧会…

Psyco killer

www.youtube.com www.youtube.com www.youtube.com nme-jp.com 米機の空爆で焼き尽くされた東京が敗戦後、立派な大都会に蘇生したのと同様、ガザ地区も一度は根こそぎ破壊するのは仕方がなく、むしろ巨悪を払うのに必須のプロセスだと嘯くイスラエルのツィピ…

週明け

シルヴィア・プラスの遺体写真を眺めながら昼餉を片づけていた ガス・オーブンに突っ込まれたかの女の上半身、 死の直前に最高のユーモアを発揮したという、 モリッシーの言葉を懐いだす おれにとっての『ベル・ジャー』はいまだ いまだ見えないままで 遙か…

赤い柄の鋏(2005)

はずんだ綿パンの臀が木の向こうに沈んでいく 赤い柄の鋏をもって姉は花狩り 嵐の翌日に万物はゆるみきって ところどころ溶けている 濡れているものはどれもこれもイヤラシイ 妹たちは犬の散歩に頑としていこうとしない そのいっぽうで遭難者たちは 夕までに…

おれの徒然〈10〉「ギター買った。」篇

★ 先日、nagiのkuroというギターを買った。新品で¥43,000ほどだ。以前ギターはLAGで新品だったら¥25,000だった。今回は少々奮発した。そしてその後遺症か、いささか酒に呑まれてしまった。というわけで今月はもう文なし。こいつを弾きまくって、積年のまち…

速度狂(2003)

www.youtube.com 詩に感傷も美しさももういらない そんなものはおやじやおふくろにぬりたくって 臑を齧るときに使えばいい ねぐらでダサい文学青年きどりよ、土台 きみはことばを定規で測れても 感情をことばになんかできまいよ 感情そのものが足りないのだ …

不眠(2009)

ふけてゆく夜 のうちがわ おれという犬のくそ のような叡智にはかならず 休息の欲しいときがある しかしろくでもないものが宿った左の手 をもちいていくら電話の古く黄ばんだ 回転式ダイアルをまわしても 通じた回線をむこうにおれの欲しい眠り について註文…

水を呑む男(2007)

www.youtube.com 曇ったガラスに朝がさす。その男は目を細め、コップの底に光りを見る。上半身は裸、黒いズボンをはき、カンバスの中央に立つ。かれの前には小さなテーブルがあって、視点はややその下を向く。細いラインが部屋を蔽い、太いかげがかれの姿を…

sometime I feel like a blind man

作業所から電話 きょうは工賃明細と捺印で、 あとは在宅、 でも、そのまえに心療内科がある 朝餉を済ましたとき、 また電話、 師匠からだった 送った見本版の詩集から、 好いという作品をあげた、 『暗がりで手を洗う』、『たとえば夢が』、『ムンクの星月夜…

海(2006)

www.youtube.com 午前0時も半ばを過ぎて ヨット・ハーバーの周りには 黒い潮風と引き揚げられた古ボートが眠っている 白くぼやりと浮かぶのは 疲れ切って萎えた帆 その白さに小指ほどの言葉を当てはめながら歩く ただ来てしまったから歩く なにひとつ意向を…

動物園(2006)

www.youtube.com www.youtube.com (見る) だれもかれのなまえを知らないし だれも知ろうとしない 見られ 覘かれ 触られ 汚され 洗浄され 閉じ込められ 少しだけ解き放たれる かれ (見ている) 動物園のなかをくまなく かれを覘き 触り 笑い 汚し 追い込ん…

空域(2005)

おそらく大勢の詩人たちが宙に浮いているというのに ぼくには飛ぶ空がない 時代から取り残された残り火として ただ未明のかすかを照らしているだけだ おもいだしてみればいい きみが廃墟の配電盤をあけたとき たくさんんお雀蜂がきみになにをいったかを ぼく…

I'm just feeling fade away, now

★ 「握り金玉(ぎんたま)」という俗語を識った なにもせずにぶらぶらしている、という意味らしい おれも最近ずっと金玉を握ってる 映画が観られない 未読の本が溜まってる 性慾も湧かない いつもいつも過去のことで頭がおっぱい だらしなくタッピングを繰り…

放浪のはじめ(2005)

孤独が夜更けてひとり歩きだした 叱られていき場のない少年のように 十五のころに帰ったように 看板のなかの 派手なべべを着た娘の その胸に手をあててみたり 雨に溶けだした聖母像の肩や頬に 顔をすり寄せてみたりして 孤独にいっそう磨きをかける 触れられ…

物語と社会福祉制度〈1〉

* あまり物語に無粋な突っ込みを入れたくはないのだが、あまりにも社会構造を無視した作品を見かけるので、考えを述べたいとおもう。エセ批評家風評定なのはごくごく承知している。まあ、大したものじゃないから話半分で読んで欲しい。 * ○ドラマ『家なき…

リチャード氏の埋葬に関する余興(2013)

リチャード氏は 24時間営業の 駐車場に 掘られた 穴のなかで からだを埋められてた レスターでのことさ その穴は 忘れられてしまったけれども、 つい先日掘り起こされた かれは至って正常だが ヘンリーやボズワーズと戦った1485年 味方の裏切りによって、 戦…

A Dream Are What You Wake Up From

かろうじて20代だったころ 赤十字病院にいた なじみとなったアルコール性の膵臓炎 好きだった女の子をおもいだしながら やがて来るだろう 使者たちに願ったもの けれどかれらは来なかった 天は鳥の羽根 あるいは猫の唇 退院してすぐにかの女の手がかりを探し…

something must breaking

www.youtube.com * きょうはじぶんの演奏を動画に撮った iPhoneを買ってからしばらく経ったものの、 そういった挑戦をいままでしてなかった きのうの演奏で手応えを感じたので、 いくつか動画を撮ってSNSに投稿した ライブハウスにも送信しようとおもったも…

乾涸らびた道に南半球をめざす蟻たちの行進がつづく いずれの運命、あるいは私的な詩を全うするべく立ち上がった足 われわれがわれわれでないと気づかされる、ささいな情景たち 一人称を見失いかけたおれを慰めるかのような象形たち いったいどれほどの代償…

おれの徒然〈09〉「途中覚醒」篇

* それにつけても途中覚醒である。いつも0時くらいに眠るのだが、それが4時ぐらいで眼が醒めてしまうのだ。こいつにはだいぶ困った。ただでさえ、眠剤がないと眠れないのに、薬を嚥んでも起きてしまうのだから。というわけで途中覚醒について検索すると、ど…

七月の世界

現在を過去のように話す男たちが 路上で種子を蒔いている 真昼の儀式めいた 時間を 過ぎ去っていく詩業 うずくのは唇 うめくのは棺 あらゆる鍵穴と符合する夏の神経痛 七月よ、おれは産まれた おまえの腕に抱かれたおれがいま、 為すべき判断を下すとき たっ…

映画『シン・仮面ライダー』への疑問符

www.youtube.com * 去年の春に公開された映画で、観にいったときはわるい部分ばかり見えて、正直ストーリーに頭が入らなかった。ところがAmazonプライムで観て、なかなか話の筋はいいなとおもった。しかし改めて映像表現としての疑問、世界設定の疑問がどう…

おれの徒然〈08〉

* カメラが届いた。TIARA Ⅱである。傷と凹みが残念なのだが、いまのところ手に入るのはこれだけだ。まあ、¥5,0000あればもっと状態のいいものに出会えるのはわかってるが、どうしようもない。そんな金が入る予定もないし、フィルムだって高い。しかたない…

音楽をください

ロビー・クリーガーのように、ピーター・ブロデリックのようにギターが弾きたい ときには折坂悠太のように吼えたい、三上寛のように私小説でありたい ことごとく滅びたはずのぼくを呼ぶ音楽たちをいまも愛おしくおもう 堀内幹のよう懐いだされても、宮本浩次…

社会的弱者を道具に自己正当化はできない。

* はてなブログのプラットフォームに変更が加えられ、投稿についたブックマークが見やすくなった。ぜんぶで52ある。そのなかでもぶっちぎりなのは'17年に書いた『夏の諍い──山下晴代氏とのいざこざ』だった。なぜか? 4人もがブックマークしている。 mitzho…

おれの徒然〈07〉「追憶」篇

* 12月、1月と無駄遣いで終わってしまった。金が入ったのにろくな買いものもできずに終わった。楽器屋に駆け込んでLAGをもういっぽん買えばよかったとおもう。買ったものはLP1枚、安売りの時計、レコード入れぐらいなもので、あとは酒に消えてしまった。7万…

ロックンロール・スーサイド

www.youtube.com だれかがいったようにロックンロールにも自殺にも合わない時代だ 失うには速すぎた、撰ぶには遅すぎる、そんな時間が過ぎる 莨をやめるように生きるのをやめられない どうしたものか、そんな時代を生きて、 わたしはすっかり怖じ気づいた 愛…

クール誕生

for O ことばのなかではどこだってゆける──19歳のぼくはそうおもっていた するとこの世界はどの現在をたどっているのか──40まぢかのおれはおもう 乾いた助辞と接続詞をやりながら、わたしはやってきた 迷いと索漠のなかで準急列車が梅田にむかっている わた…

ぼくの電話

ずっとのあいだ、 ぼくの電話は沈黙している 当然だれからも声がかからない だれかがぼくを知っているはずのなに 親しいひとすらもぼくにはない 羽のような塊りが浮遊する午後の窓 電球を数える子供の声がどこからかしている それでもぼくの電話は黙っている…

Culliner Wharf in Heaven

www.youtube.com www.youtube.com for m 悪夢を謳う儀式をやめられないでいるトラッカーとともに ぼくはモー・タッカーのドラミングを聴いている どうしたものか、かの女が左利きにおもえてしまう さっき尋問のようにつづく高速道路を抜けようとして、 誕生…