みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

詩作品

Louie Louie

夏の匂いがする、──ぼくはつぶやく かの女たちにできることはもうなにもない、──ぼくはやぼやく 母は家をでたらしい、 姉は離婚したらしい、 妹たちはそれぞれどっかで暮らしてる かの女たちがどこにいるのかなんかぼくの知ったことじゃない あの家のなかで…

piss out

できればもう少しでいいからましなものをと求め、 なにも手に入れられないことの憐れさ だれもでもない、 なにものでもないという事実、 受け入れようと受け入れまいとそれはおなじこと だってきょうも郵便受けはからっぽで だってきょうもあしたの喰い扶持…

叶えられない祈りのなか、ぼくはぼくの指を握ります

地下鉄 水に充たされた花野であしたの仕事がないという事実を呑む なんてこともなくダートを走り抜く馬みたいな勢いが要る だのに空気の抜けたダッチワイフみたいにおれは存る たまたま掴んだ書物と、たまたま掴んだ絵筆が、 しつこくおれを狙ってる、 どう…

ふたつのけつに降りた蠅

電話 レイの母親としばらく話をしたのはもう5日もまえだ やつはまだおれをうらんでるだろうかとおもう でも、どうだっていいこと やつもおれもろくなもんじゃないから ふたつのけつに悲しい蠅がとまって あじさいがゆれる、またゆれる その振れ幅にしぶく、 …

だって、もう、だから、(PM20:59)

夜ふけの通りをわたってすぐに 光りのきれっぱしが飛んで ぼくに迫る ブレーキ、 焦げるタイヤの臭い、 むかってきたのは40女の乗ったルノー 醜い皺をいくつもつくりながら かの女は窓からかいなを突きあげて 怒り声をあげる それはまったくの瞬間でしかなく…

6月

哀傷というのか、輪郭というのか、とにかくそんなものに搦まれて、 おれは身うごきできなく、なってしまってる 電話帳の最後に記された番号と、 いずれだれもかれもがいなくなるという事実 遠くまでひろがる溝の澱でいま 6月が燃えあがる そして医者がいう ─…

fiction

おまえら うそをつくな さみだれをたたえよう いつかたどりつくまえに くたばっちまおう 花びらだわずか どうなってるんだって いうな花の名は いなうな花の字は おまえら ほえかける あの子のおもかげ そんたくのはて あこがれはつめたく するな逃げるなと …

第2詩集「38wの紙片[second edition]」、無料公開

'14年にモノクロ印刷にて出版し、その後'17年に再編集してカラー化、再刊した詩集「38wの紙片[second edition]」を公開します。撰と序文は森忠明、写真・デザインは著者です。 38wの紙片.pdf - Google ドライブ 表紙 ふるえ ふるえをとめてはいけない とめ…

詩集「終夜営業|Open 24 hours|発送受付(2012)」、無料公開

終夜営業 | Open 24 hours |発送受付 作者: 中田満帆 出版社/メーカー: a missing person's press 発売日: 2017/06/10 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る '12年に自主制作した第1詩集「終夜営業|Open 24 hours|発送受付」の普及版をドライ…

ペヤングに喝采!(詩の断片)

* うらがえるほど翅をひろげて 君が代みたいにジャンプ! 顔面のなかで いっぱいになる河 喃語しても 愉しくなれず 犬を呵る 夕映えのなかでそっと複葉機が降りて パイロットの特殊分光器がいま おまえの手で砕かれる * ガソリンに濡れた髪よ ガソリンに濡…

主題歌(2015)

「広告募集」の看板がつづく田舎道 起伏の激しさに咽を焦がしながら かつて父の自動車で走り回った いまでもあのあたりを歩けばおもいだす いとしいひとたち、 あるいはいとしかったものたちをおもいだす それは一九八四年のピープ・ショウ あるいは二〇一五…

たぶん永久に

濡れた、 さいごの花束も、 ふりあげられた拳も、 ぜんぶがぜんぶ、 水によって引きずりだされてしまい、 いまやそれがなんであったかを識るのはむつかしい 海のむこうがわで大きく彎曲した虹鱒がクリークにむかって艪を漕ぐ それでも壊れた、 はじめてのほ…

新年の手紙(2019)

セイコさんから本の返しにとクッキーを戴く ぼくはかの女に瀬沼孝彰を貸したんだ かの女とはあそこ──文藝投稿サイトで知り合って8年になる そしてオノウエからは年賀状 曰く自転車事故で頭を撲ってしまったという かの女がかつての同級生で、 いまは雅楽師──…

好きなもの(2004) 

昼より 夜が 愛するより 恋することが なめるよりかみ砕くことが カタカナよりひらがなが 降りる駅よりずっと先にある降りない駅の方が 関西弁より東北弁が 太宰治より織田作之助が 文芸よりもアクション映画が 渡哲也より小林旭が 小林旭よりが宍戸錠が 吉…

チューイン・ガム

おれたちがいままで読まされてきた詩っていうのは、ほんとうの人生をおれたちから隠蔽してる。それをおれは信長書店というアダルトショップのグッズ・コーナーで痛感したんだ。ローションを撰びながらね。とりあえずは、そのときの気持ちを一篇の詩に込めた…

カセドラル再訪

冬のあいだずっと アルコールという月光液から遁れようとして 嫌酒薬を呷って、 星々との口唇期を愉しもうとしてた 藁を葺くひともないふるさとの、大聖堂 そいつは父のつくりあげた家という夢の汚物 そいつは父のつくりあげた家族という夢のむくろ おれはど…

飛べる監獄

長い夢の果てにおれが攫んだものはもはや茹ですぎてぐずぐずになったスパゲッティ でしかないことに謹みながらありがとうって きみの、流しそこねたうんこへ呟いたこと だってそうだろうよ 熾火がいつまでも待ってくれるわけもなく、 おれたちは堅牢さのなか…

からたちの花

ユウコのために ユウコ、かつてのぼくはきみが好きだった ぼくがきみを好きになったのはたぶん、 きみの気怠さやつらそうなまなざしがぼくの、 ぼくの琴線に触れてやまなかったからだって 有馬高等学校定時制課程の教室を懐いださせる 緑色の上着に白いシャ…

かたぶく、かたむく(「古今和歌集」巻第8/離別歌より)

* そうして水銀の、 滴りを ガラス管のなかへ かつてぼくらが若かったとき、 撹拌機のなかで出会ったことを懐いだす あかときの声、 天雲の、 褥 旅立つ春をどうかお赦し給えよ かたぶき、かたむく ──わが梁よ奪え ──わが棟よ踊れ * 果てのない管をたどっ…

詩へのリハビリテーション#02

幣/みてぐら みかどの統べる、 あまねく神の、 うたごえの、 みそひともじは やがて妙なるひびきを失い、 あらゆる寵から転げ落ち、 盲いた男系の妄信から醒めず、 滅びのときを待つばかり かれはけだし神官であり司祭であり、 ひとりの老いた夫であり、 父…

ぼくの雑記帖──中田満帆詩集/未収録作品輯

ぼくの雑記帖──詩集.pdf - Google ドライブ あたらしい詩集をだしました。2003-2018の作品が入っています。 よろしく。

詩画集「世界の果ての駅舎」限定無料公開

世界の果ての駅舎 またも詩集を公開します。紙版が欲しい方は「製本直送」のオンデマンド印刷までお願いします。販売もしております。また喜捨をくださる方は、三井住友銀行・藤原台支店 普通 7489267 までお願います。御自身で印刷される方は、可能であれば…

告知、詩画集と詩集、そして絵画作品の販売

あたらしい作品を販売することになりました。受注生産です。絵についきましては希望者にカタログを送ります。

そして遊戯は終わる

詩集「世界の果ての駅舎 詩群2014-2016」あとがき どうしてこんなにも警官が多いのか。やつらの車はわたしが坂を降るたびに、角を曲がるたびに、そして大通りで信号待ちをしてるときにも現れる。回転灯を光らせ、静かに。加納町交差点にいたマル暴は消えた。…

きみにとっておれが善良でなくとも

すべての郵便局が驟雨に呑まれてしまうまえに メルセデスを叩き潰し それからふたりで甲殻類を喰いにいこう 文鳥が鳴きやむまで 腹いっぱい タクシーは油虫みたいにロータリーで睦む けっきょく選択肢はどこにもない あるいは恋人たちとともにして アスパラ…

黙する、まなざし

黙する、まなざし またたきの天体 おきざられた観覧車が、 さまようぼくを照らす夜 かわるがわる、 飛びかかる過去やらきみやら、 流動体みたいなスカーフ、 色のないスコール、 交わって。 おはようございます、 はじめまして、 ぼくはうれしい、 どうぞよ…

夏の定型詩

短歌 真夏の死たとえばぼくの万華鏡いつもみたいにきみが視えない けものすらやさしい夜よみずからを苛みながらも果実は青い 森番のひとりのかげを手斧もてわかちつつある狩人のぼく まだ解けぬ方程式も夕暮れてきみのなまえのなかに眠れる 神殺むるときを経…

ニューオーリンズ

ニューオーリンズの日々についてブコウスキーは語りたがらない あるいは語るべきものがあまりないのか 5セントの棒つきキャンディを嘗め 空腹を抱え 書くためだけの時間を求める あるいは子供たちに追われて、 酒屋のなかへと逃げ込む 果たしてすべてはおも…

清順が死んだあとに

映画音楽というものはおそらく 残り香に過ぎない フィルムにしたっていつかは滅びて 棄てられる 多くのひとの夢は わたし自身の夢と拮抗し、 またちがった現実と入れ替わって、 まざりあうだろう だからなにも悔やむ必要はないんだよ いっときの愉楽のために…