みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

短歌

november/晩秋の一夜

* 黒がねの馬の蹄のように鳴る吾の革靴よ闊歩、kappo! 遠ざかるうなだれるかれ晩秋の一夜のように立ちあがれない 斑鳩のそらよひとひら羽が落ち町全体を包む漆黒 倦めばただ天井見つめひとときの虚ろのなかをさ迷いし哉 黒雲のむかうところにたどり着くさ…

十月の黄昏れた海(今月の歌篇)

10月のたそがれた海 * ボール抱く少女のかげを奪う月その影のささやかなる夕べ どんつきに馬現るるゆきどまり去るべき道を失う夕べ 父死せり雲雀のかげを追うせつなまだ見ぬボール投げ合うわれら かたき討ち気分でひとりふかぶかと帽子かぶった秋の長雨 悼…

僕(今月の歌篇)

* 秋の月まばゆくなりぬ半月に世界のすべて託し給えよ 星の夜に水の魚は光りけり葬場の鐘に跳ねあがりたり 秋月にあずける恋よひとびとのなかにふと迷えるおもい 標なき十字路にただ立ちながら炎天に燃ゆる蠅をば見つむ 秋の雨ひとかげみなのまなざしをただ…

august/8月

* さすらえば鰥夫の身こそ倖せとおもい果てたる真夜の駅舎よ 晩夏訪れてたったいま淹れる珈琲の湯気に消ゆるすべての死者は 暮れる丘奇蹟の粒もなきがまま天然の美を湛える河や 濡れそぼつ聖母のごとき裸婦像やわれを見初めて連れてゆかんか 草木の燃えあぐ…

サマー・ソルジャー(今月の歌篇)

(PV) サニーデイ・サービス - サマーソルジャー それは天気のせいさ──サニーデイ・サービス「サマー・ソルジャー」 * 生命の理やぶりそれほおどにきみと会いたき夏のはじまり 水たまり飛び越しながら光りつつ最后のひとつに加えられたし ソーダ水の残りの滴…

短歌とオイル・サーディンについての論考

腹が減った。きょうから禁酒のためにノックビン散薬を呑んでる。「短歌研究」及び「角川短歌」、どちらも脱肛した。できあがったということだ。角川は題名以外すんなりといったが、研究は何度も駄目だしを喰らい、ようやく出来た頃には最初の主題はほとんど…

「土のなかのぼく、土のなかのまぼろし(仮題)」没歌篇2018

過日、森忠明先生へ二篇の短歌を送ったのだが一偏ぜんぶ没になってしまった。というわけでこの行き場のない歌をここに残しておこう。 「土のなかのぼく、土のなかのまぼろし(仮題)」──短歌研究新人賞のための歌篇 わが帰途を見失えりただひとりゆくなら黄…

ジューク・ボックスの時代に

ジューク・ボックスの時代に 水鉄砲撃ちつくしたり裏庭を駈けて帰らぬ幼年の業 美少年クロスロードにさしかかり魂しいの値をきょうも数えん 翻るワンピースや物干しの彼方に失せる数千のきみ 怖じ気づいて去るぼくの姿よ泥濘のなかに紛れん犯意の確かさ ロッ…