みずから書き、みずから滅ぶってこと。

中田満帆 / a missing person's press による活動報告

スケッチ(01)

遠くはなれたところで芽吹くものは石 石になりたいとおもう、 でも、おもうだけですと佐々木英明はいった 種子はみな石となり、壁となり、町となるのは、 あなたがきのう土を産んだせいだといえるのは、 黄色い花のあるところで鼡の人間が栄えているからか …

愛について

愛について書けることはそう多くない 愛について話せることも多くない なにかもかもが河のむこう岸へいってしまったみたいに 愛はとどかないものだとこの人生に教えられてきたから、 いまさらどうればいいのかがわからない いままで好きだった4人の女たち い…

求職

仕事がない 金は減る このおれにふさわしい仕事を とこしえにつづく仕事を 才能の裏づけもなく詩を書き、 そしてギターを鳴らす そいつには厭きた 週払いの利く仕事が欲しい きょうは家電量販店で 仕分けの面接 でも、週払いは原則なしと来る 求人広告は当て…

wolf moon

月翳にまぎれて 見えなくなった友人を探しに 舟を漕ぐ 生田川上流から下ると、 二宮神社にぶつかり、 もうなにもわからない 冬ざくらが咲いてたあたりで 処女塚を過ぎて、 やがてぼくのなかの熾きにたどり着く のはほんとうだろうか だれかが剪った、茎の断…

映像についてのメモ

たとえば最初の光りの切れっ端が 丘のむこうに落ちて 弾けるとき おれはきみのことなんか忘れて マスキング液をフォルクスワーゲンに塗ってる だれかがおれのことをとやかくいうことはない いまではみんなおれを観ない 映画みたいに ラジオみたいに ただ一方…

real gone

ひとたび花に臥す すれば自身の姿さえも 見えなくなる ほんとうになくなった 遠路の果てで じぶんを見失う男 かつてはなまえがあったはずの、男 ほら、プールサイドを歩いて、 他者たちのかげを数えてるやつがいる もしできるのなら、 そいつを突き落とした…

Nastassja Kinski

身うごきのとれない暗がりで みずからを律するのは わるあがき に 過ぎない ほとんどのひとが雨になったあとで 林檎の表皮を削るような かぜが吹き抜ける 声をあげて いまだ顔となまえが一致しない労務者たち カナリアの鳴き声がやんで ガス・スタンドから 2…

夢の定着液

蟻塚によじ登る夢を見た じぶんがアリクイになった夢 過古からやってきてはやがて現在へと定着する夢 落ちてきた不運をみなスクリプトしつづける夢 ぜんぶがじぶんの不始末からはじまってる それが夢のなかの、 あらゆる穴に符号する、 ゆるい神経痛だ 「ダ…

Romantic Discharger

花に石を足して 鱈をかけて 無花果で 割る その答えは暗渠 信号は右 答えは真許 信号は右 ロータリーに呼ばれ、 細胞に阻まれ、 金木犀が、 足場の、 むこうで、 建築する。 二人称のなかにまだきみがいるなら、 花をふりまわして、きみを打擲したい 打ちす…

新年の眼

もはや愛しみもない ところで、 立っている わけにもいかず、 歩く そいつは、 転落の、 技法ですら ない 声のないほうまでずっと、 ずっと進みつづける のは亡霊の、 流儀か ボルネオが呼び、 神戸が答える までもなく、 道は 冷たい 空き地の盛り土を眺め…

Bald Mountain

ジム・モリスンの「HWY」を観た ヒッチハイカーが車を乗っ取って、 夜のモーテルへたどり着く それだけの映画を 運転手の、 不在が、 意味と手を繋ぐことも 赦さない ショットも、フレームも、 競艇用ボートですら、 いまはアメリカという夢の隠語 為す術も…

茫洋

名づけられない ものに惹かれ、 るが そうなりたいとはおもえない くちびるから オレンジがめくれあがって、 わずかな熱量から 水上が 沸き立つ のに 麦には国がない ホテルの便所を占拠したい 分光器の子供たち あるいは大礼服の老人たちから奪って、 テレ…

宛名のない書簡

魂が 衰えたとき 形式が 現れる──チャールズ・ブコウスキー「芸術」 謹啓 年賀状、ありがとう。すごく励みになった。どっかにきみの本名を書いてしまったみたいで大変すまない。校正がちゃんとできてない。箇所を教えてくれれば訂正するよ。わたしはプロとは…

新年の手紙(Ⅱ)

きみに手紙を書こうとおもいながら、いったい幾年が過ぎたやら ぼくは病院と留置場と裁判所をいきつもどりつして、 すっかりくたびれてしまった ぼくはぼくがなにものかになることを待ってて、 待ちすぎてとても疲れてしまったんだよ 曳航のしすぎで、あらゆ…

新年の手紙(Ⅰ)

* パーティはなかった 雨季の名残りがあらゆるところに点在しては、早くもぼくを蚕食しようとかまえる 自動車を比喩にして逃げ穴に変換するスペース・キーが壊れてるのにだれかが、 かれらを、そしてかの女らを掴まえる 河に飛び込むツェランへの最後の督促…

今年観た映画作品一覧&観られなかった映画+1

今年観た映画作品一覧 汚れた血(DVD) MAUVAIS SANG (Leos Carax) Trailer ポンヌフの恋人(DVD) 映画『ポンヌフの恋人』予告編 ぼくは天使ぢゃないよ(DVD) ぼくは天使ぢゃないよ ハイ・ライフ ロバート・パティンソン主演、それはもっとも危険な人体実…

ぞく・年賀状づくり

というわけで1枚追加で描いた。こっちの絵は筆ペンでなく、プレピー万年筆を使った。

年賀状づくり

今年はとりあえず、4枚だけ描いてみた。実は、ほかにも2枚つくったのだけれど、絵がひどすぎて棄ててしまった。 もしかしたら、あと2枚、つくるかも知れない。けどいまのところ、これだけ。

サム・シェパード「モーテル・クロニクルズ」1982年

Sum Shepard "Motel Chronicles"/ City Lights 1982 * 本書は映画「パリ、テキサス」に原イメージを与えたとして知られている。けれどもわたしがこの本を知ったのは、大阪難波のジュンク堂で偶然眼にした、青山南の「旅するアメリカ文学」での紹介と引用だ…

死ぬほど退屈

まだ10日だというのに、1万を切ってしまった所持金よ。その冷ややかなまなざしよ。熾きに立つたよりないおれよ。幻影よ。あらゆる神々に見棄てられたもののための祈りよ。どうしたらおれは生活できるようになるのか。 先月の金なし生活の反動か、またしても…

きらきら(2018)

* すべての訓示をやぶり棄てたときから、 そうしてふたたび滝のおとが失せた あまりにねぐるしい、 にんげんの家で だれもが耳を 欹てる たったひとりぼくは廚で麺麭を焼いてる だれかが庭で黄葉を踏む たしかに滝は枯れてしまったんだ。 * 斑鳩の空にいま…

正午(2009)

霜月も終わりを始めて 死にそうなほど酒を呑みたくなったある日 送られてきたレポート文におれは楽しみを見つけたよ きみは確かこう書いていたね 〈空中を飛行する脳──それも人間のである──が目撃されている.先月末にイングランドはウェールズ地方にて当地の…

不眠(2009)

ふけてゆく夜 のうちがわ おれという犬のくそ のような叡智にはかならず 休息の欲しいときがある しかしろくでもないものが宿った左の手 をもちいていくら電話の古く黄ばんだ 回転式ダイアルをまわしても 通じた回線をむこうにおれの欲しい眠り について註文…

吉報(09/11/04)

おれが夜 の充分すぎる そのたわくえに魂しい を清められているみぎり 日の本は愛痴から生まれでた 屠与太の自動車(うんこ)がその犠牲者の血と 脂で臭う車体をわが戸口にすべりこませて突如 冬枯れの町がひびわれくだけてしまうような 冷たい警笛をぶちか…

桶水の冬

ビルかげに枯れ野をみてはたちつくす 長子ふと喪われゆく冬の根を掘る 敗れものほおばる葡萄味は灰 老木のよじれに昏き笑み児は 光り零す給水塔の頂きが うつしよよ暈をかむせよ明けの地へ 声なくてひとりの月のわかれぎわ 鉄条網鉄扉へ閉じしイエスのいっぴ…

をとこ来ぬ

ふなかげの淡さの陽炎午睡して 踏む浪や月のかたちに触るるまで 夏の夜に灯台守が泳ぎ着く 海見ては孤独のありか確かむる 廃屋の佇む秋よ尻屋崎 朽ちる家営みもまた暮るるのみ 去るときを地平のなかの棟とせる わがうちの愛猫秋の茎を咬む 冬瓜のあばらに游…

鴎の画(2015)

狐火に降る雨寒夜男来ぬ 飛びかたはなめらかならず鴎の画 画のうちの木工ひとり休息なし 古本と少女はひとつ過ぐ冬の 初冬の男たずさう表紙絵は時化て 灯火のいろいろのみか画面の都市 凪失わば飛ぶそらあらず一羽の青年 飛ぶそらもあらず精神病棟の冬 おも…

no future for me

今月はきびしい。のっけから5万も蕩尽してしまい、喰うのにも困った。幸い、知人から金を借りられたり、ちがう知人から野菜を送ってもらったりで凌いだり、そしてきょうは炊きだしに並んだ。まったく久しぶりのことだ。そのいっぽう、ネット料金の請求書が3…

Other Voices(2008)

春を皆兎唇のごとき少女らは 密会のまぼろしばかり葉の桜 花ぐもり羞ぢを生きてか夜露落つ 蝶番はずれて訪ふ夜の雨 ゆふれいの足美しき裏階段 鋪道満つしずくやひとの群れみせて 裏口に歌声低くdoorsは ソーダーの壜よりあはれ群れなぞの 鉄路踏みをんなひと…

自画像(2009)

十一月 猫がはるか 地上に走つている 暴きたてられてやまない ものが黒から到着と出発 を同時刻に描きだす午后 だつた──おれは救貧病院 のあたまのうえに立ちながら みずからを曝すための自画像 について見えない停車場 から発想を待機していた それはあらゆ…